2004年12月4日土曜日

読み終わった本 アルカイダ



アルカイダ


ジェイソン・バーク著


非常に長い本でしたが、読み応えがあります。作者の博識、というかものすごい量の取材を通してこれを書かれたのでしょう。イスラム教、またイスラム教の中でも強硬派、過激派、といわれる人たちがどうやって出てきたのか、彼らの信じるイスラム教は他のイスラム教徒が信じるものとどう違うのか、などが非常に明快な論理形式をとって語られています。


最初に「アルカイダ」の定義を説明します。アルカイダってメディアにもよく出てきます。「ビンラディンをリーダーとする日本赤軍みたいなテロ組織」ってのが一般的なイメージだと思うのですが、作者の描き出す「アルカイダ」はそのイメージとはかなり異なります。そういう明確な組織が存在したことはほとんどなく、どちらかというと攻撃されている側(アメリカ、また西側世界のメディア)がこの言葉に(ニュースで一言で語ることのできる)テロリストの固有名詞としての意味を持たせ、イメージを増幅させた、というものです。


なるほどなあ、って感じです。アルカイダのメンバーがいつまでたっても捕まらない理由がわかります。だってアルカイダってメンバー以外の人がつけた勝手で曖昧な概念なんだもの。


アルカイダのことだけではなくて、イスラム教(過激派)全体の歴史が書かれています。ニュースをより深く理解するにはこれくらいの知識を持っていたほうがよいと思いました。


ただ他の書評にもありましたが、ちょっと訳がこなれてない気がします。日本語として少し読みにくい。これだけ長い本なので訳の巧拙は重要だなあと思います。


あと、本の内容とは関係ないのですが、この本を持ってドイツ出張に行きましたが、空港でこの本を係官が見つけた途端にセキュリティーチェックが厳しくなったという事実も書き添えておきます(笑)





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